日常ブログやってます
「男のひとは
愛に疲れやすいので
愛に倦(う)まない女たちは
自分ひとりで愛に溢れる」(江國香織)
「女のひとは
愛をむさぼり生きるので
愛を産めない男たちは
夢を耕して愛を補う」(森雪之丞)
引用:扉のかたちをした闇
扉のかたちをした闇・・・・・
このタイトルに心惹かれて手に取ると、私の大好きな江國香織さんの名前が。
森雪之丞さんとの連弾詩集。
これは買うしかない。
詩集というのは、心にそっと触ってくるような感じがして好きです。
短い文の中に、人生が詰まっている感じがする。
この本はまさにそんな感じがしました、生活が、心が、人生が、生きることが、そのようなことの何かに気づかされる。
まずは、1月から12月をテーマに月ごとにおふたりの詩が連弾であります。
それに有名な絵画をテーマにも。
江國さんの言葉には、
ふわっと心に触れられて、そっとなでられて、丁寧に丁寧に、
でも心が熱くなる・・そんな気持ちになります。
森雪之丞さんの言葉には、
ハッとするような、ゾクゾクするような、ちょっとワイルドな。
生きている自分を「今、生きてんだよ!」と「絶対忘れるなよ!」と刻み込まれたような衝撃。
読んでいて本当に面白い。
それは笑えるような面白さじゃない。
言葉の選択や、考え方、文、なにもかもが新しい。
次の言葉、文章が全く想像できない。
私は詩や文を言葉にだして音読するのが好きなのですが、
そして割とすらすら読めるほうで、あまりつっかえることもなく読めるんです、
それなのに、まったくすらすら読めない。
スキルだとか頭の良さ悪さとか、下手なんでしょ、とかそういうことではない何か。
想像できない言葉の世界が広がっているんです。
知らなかった世界が、いや、知っていたのかもしれない世界なのに、
心の奥にどんどんどんどん何かが広がっていくのです。
だから何度も何度も読んでしまいます。
手放せません。お風呂にまで持ち込んで読んでいます。
私が特に好きな詩は、
森雪之丞さんの「忘れ上手」です。
ハッとするんです。
わかっていることなのに、ハッとして、ちょっと怖くなります。
わかっていることなのに、怖くなって、泣きそうになります。
どれも詩なので、短く、旅先で開くにも読みやすい。
旅先で読むと、この言葉たちがより強く心の中を進んでいきそう。
一冊持っていてほしい、そんな本です。